退職代行サービスは急速に広まり、利用のハードルも下がっている。ただし、運営形態によって法的にできることが異なるため、「とりあえず費用が安いところに頼む」という選び方をすると、想定していた対応をしてもらえないことがある。

3つの運営形態と、できることの違い

退職代行は主に弁護士運営・労働組合運営・民間企業運営の3つに分けられる。弁護士は交渉から必要に応じた法的手続きまで幅広く対応できる。労働組合は団体交渉権にもとづき、一定範囲で会社との交渉が可能とされる。一方、弁護士資格のない民間企業は、法律上「退職の意思を伝えること」しかできない。

民間業者による「交渉」は違法になり得る

退職日の調整や未払い残業代の請求など、条件面の交渉を無資格の民間業者が報酬を得て行うことは、弁護士法が禁じる「非弁行為」に該当するおそれがある。東京弁護士会も2024年11月、弁護士資格のない業者による交渉行為は非弁行為にあたるとする声明を公表している。

「労働組合提携」の表記だけでは判断できない

労働組合と提携をうたう民間サービスの中には、労働組合が名義を貸しているだけで、実際の交渉は資格のないスタッフが行っているケースがあるとも指摘されている。この場合、看板が労働組合であっても、実態としては非弁行為のリスクが残る。

依頼前に確認しておきたいポイント

まとめ:交渉が必要かどうかで選び方が変わる

退職代行を使うべきかどうかは状況次第だが、交渉が必要になりそうな場合(有給消化や未払い賃金の請求など)は、交渉権を持つ弁護士か労働組合を選ぶ必要がある。単に退職の意思を伝えるだけで済む場合でも、運営形態によってできることが異なる点は、依頼前に確認しておきたい。

出典: 東京弁護士会による声明(2024年11月)、退職代行・労働問題専門メディアによる解説記事(複数媒体を参照)