転職支援サービスは複数登録した方がいい、というのは概ね正しい。1社だけでは出会える求人が限られ、担当者との相性という運の要素も大きくなるからだ。ただし「複数使う」という判断と「どう組み合わせるか」という判断は別物で、後者を間違えると、選考の土俵にすら乗れなくなることがある。
複数登録が基本とされる理由
エージェントごとに保有する求人は異なり、非公開求人となればなおさら重なりが少ない。担当者の力量や相性にもばらつきがあるため、1社に絞ると、その1社の質がそのまま転職活動の質になってしまう。分散させること自体は、理にかなった判断である。詳しくは転職エージェント、複数使うべきかどうかの判断でも整理している。
「詰む」のは、同じ求人に重複応募したとき
複数登録で最も起きやすい事故が、同じ企業の同じ求人に、別々のエージェント経由で応募してしまうことである。
企業側から見ると、同一人物の応募書類が異なる経路で届くことになる。採用が決まった場合にどちらのエージェントに手数料を支払うのかという問題が生じるため、企業は判断を保留するか、トラブルを避けて選考を見送ることがある。候補者の実力とは無関係な理由で、選考の対象から外れてしまうわけだ。
しかも候補者本人は、自分が重複応募していることに気づいていないことが多い。エージェントから「この求人はどうですか」と提案された求人が、別のエージェントから提案された求人と同じだった、という形で起きるためである。
組み合わせを間違えるパターン
- 同じ領域・同じ規模の企業を扱うエージェントばかりに登録し、提案される求人が重複する
- 応募状況の管理をエージェント任せにして、自分ではどこに何を出したか把握していない
- 提案された求人に、企業名を確認しないまま「お願いします」と返答している
重複が起きやすいのは、登録数が多すぎるからというより、扱う領域が近いサービスばかりを選んでいる場合である。
詰まないための3つの原則
- 応募した企業名・求人・経由したエージェント・応募日を、自分の手元で一覧にしておく
- エージェントから求人を提案されたら、返答の前に自分の一覧と照合する習慣をつける
- 登録するサービスは、扱う業界・職種・企業規模が重ならないように選ぶ
エージェントの質を見極める視点については、ITエンジニアの転職、エージェント選びで結果が変わる理由でも触れている。
まとめ:複数使うなら、応募管理は自分の手元に置く
複数登録は有効な戦略だが、応募の全体像を把握しているのが自分だけである以上、その管理を外部に委ねることはできない。登録数を増やす前に、どこに何を応募したかを自分で一覧化する仕組みを先に用意しておきたい。
所長の見解
採用する側にいると、同じ方が別々のエージェント経由で応募してきたケースに出くわすことがあります。多くの場合、候補者本人は重複に気づいていません。ご本人の意欲や能力とは無関係なところで話が進みにくくなるので、見ていて一番もったいないパターンだと感じています。